夢うつつな旅行をしてきた件(1)

3月の三連休。僕は群馬は磯部温泉に来ている。

 

磯部温泉。江戸時代に初めて「♨」という温泉の記号が使われた土地であるという歴史ある温泉だ。駅前には風情のある温泉宿が立ち並んでおり、流れる川は清らかで、豊かな木々が風に揺れている。東京からも2時間程度で向かうことができ、アクセスも良い。

非常に良い。素晴らしい温泉街である。

 

そんな温泉宿の1つに宿泊し、僕が何をしているかといえば……

 

 

部屋にこもってギャルゲーである。

 

 

 

なぜこうなったのか。何をしてるのか。少し、話させてもらいたい。

きっかけ

 

きっかけは、Twitterで見たツイートだった。

もう正確な元ツイートは覚えていないが、ふとTLで見かけたツイートに目を惹かれた。そこには、温泉宿の和室で、悠々とギャルゲーをプレイしている写真がアップされていたのだ。

 「あ、これやりてぇ…………」

という欲求が心を満たすのは一瞬だった。

 

これまでふらつくような1人旅に行ってみること数回、たまにはまた違う種類の旅行がしてみたいと思っていた心の隙間に、この写真の光景が見事に滑り込んできたのだった。


 

そして、ギャルゲーである。

 

僕(二十代中盤オタク)の感覚とすれば、「ギャルゲー」というものは、"かつてオタク文化の中心にあったもの"であり、世間にオタク的な文化が膾炙し始めたことによって、徐々にその立ち位置を失ってきていたかつての遺構であった。

 

当時中高生であった自分は自分のPCを持っていなかったため、素直に憧れていた。自分より"先輩"のオタクたちが匿名掲示板で、動画サイトで、mixiで、神だ国歌だと持て囃すギャルゲーの数々というのは、いったいどんなに素晴らしいものなのだろうと思って生きていた。

 

その欲は十分に果たされないまま大人になり、オタクとして生きている上でのコンプレックスになっていった。「ゼロ年代」の輝かしさを皆が語るたび、その光を直接体験していないことを悔しく思っていたのだ。

いつかギャルゲーを思う存分プレイしたい。あの賛美されていたものたちを自分でも体験したい。それも、仕事によって中断されることのないような、できるだけ鮮烈な形で。

 

そんな欲望を抱いたまま成長を続けた成人男性の成れの果てがこれである。

 

はい。そうはならなくない?

 

 

 

とまあ、そんな欲求によって開始されたこの旅行である。

 

計画

始めるにあたって、まずは一番大切なゲーム選びからだ。

せっかくなのだから、所謂「名作」というものをプレイしたい。しかし、あまり時間がかかるものは選べない。せいぜい20時間くらいというところだろうか。ということは、ルートの分岐があまりないゲームで…………というように考え、また友人達にもお勧めを聞いたところで、プレイするゲームは2本に絞り込んだ。

Fate/hollow ataraxia

君と彼女と彼女の恋。

の2本である。

購入には、au payの20%ポイント還元サービスを利用させていただいた。ありがとうau pay。18禁ゲームを買って還元されたこのポイントほど穢れたポイントもこの日本国内にそうないだろう…………

 

 これでゲームは準備完了。

 

旅行先は、関東近郊で、温泉街で、ついでにコロナの影響で多少値引きがされているとうれしくて…………と調べていくと群馬県磯部温泉に行き当たった。

いやホントにいい温泉街だったので皆行ってあげてください。僕も詫びの気持ちを込めて人生でいずれまた行こうと思ってます。


磯部せんべいというのが名物で、完全に僕の大好きな「きちんと歯ごたえがありながら、サクッと噛み切れて口の中でまろやかにやさしく溶ける」というせんべいでめちゃくちゃ美味しいです。ぜひ。(よくお土産で見る気がするんだけど、なんていうんだろうね、あのサブレとかビスケットよりは柔らかく、それでいてサクッと歯応えのするタイプのせんべい。知ってたら誰か教えてください。)

 

 さて、これでゲームは買った。行先の旅館も決まった。

そうと決まればあとは…… 

 やっていくだけだ。

 

 (適当に書いてたらまさかの出発までで1記事になっちゃった。つづく。)